治療の実践における問題点
治療中に起こる低血糖
- 低血糖とは、一般的に血糖値が50[mg/dl]以下の状態を指すが、これ以上の数値でも発作が起こる場合もあるし、またこれ以下でも起こらない(自覚されない)場合がある。血糖値を正常に近づけようとすればするほど、頻度が高くなるので、注意を要する。
- 原因
食事計画・摂取量の不徹底、運動のしすぎ、薬剤量の間違い、インスリン注射の血管内誤入、アルコール過飲などが引き金となる。 - 症状
初期から危険な症状まで様々な症候がみられる。(表3参照) - 対策
意識がはっきりしているときは、吸収の早い液状のもの1~2単位摂取し、30分以内に回復することを確認する。意識がはっきりしないときは、直ちに主治医に連絡をし、指示を仰ぐ。無理に口にものを入れない。 - 予防
ブドウ糖などを携行する。食事時間がずれるとき、過度の運動のときはあらかじめ補食をする。薬剤量をきちんと覚えておく。家人等に伝えておく。普段の血糖コントロール状況を把握しておく。
表3 低血糖の自覚症状
初 期 | 空腹感、ふるえ、イライラ感、違和感、だるくなる、眼がちかちかする、興奮、ドキドキする 冷汗がでるなど |
進 行 | 怒る・泣くなどの精神症状、眠気、もうろうとする、眼がかすむ、頭痛、ふらつき、錯乱 |
危 険 | 錯乱が激しくなる、せん妄、うわごと、けいれん、眼球上転など脳神経徴候、昏睡 |