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合併症と対策

急性合併症

糖尿病性ケトアシドーシス
主としてIDDMの若年発症時や治療中断時にインスリン欠乏症状とともに脱水症状を呈し、著名な高血糖となり、血液が酸性に傾き、電解質異常を来たして昏睡に陥ることがある。
高浸透圧性非ケトン性昏睡
主としてNIDDMの高齢者の感染症併発時や治療中断時に脱水症状を呈し、循環虚脱に陥れば死に至る。
乳酸アシドーシス
主としてビグアナイド剤の併用時やアルコール過量摂取時などに起こる。高血糖は軽度であるが、ときにショックを起こす。
治療中の低血糖昏睡
主として薬剤の過量投与時や運動過量時、食事摂取不足のときなどに起こり、昏睡に陥ることもある。


慢性合併症

糖尿病性網膜症・腎症・末梢神経障害
三大合併症といわれるもので、持続的高血糖による細小血管障害が主病変といわれている。
  1. 網膜症
    しばしば無症状で経過し、検診等で偶然発見されることもある。かなり進行(5~10年)してから視力障害が出現し、眼底出血~硝子体出血・混濁~網膜剥離~失明に至ることもある。
  2. 腎症
    無症状で経過する。進行(10~15年)しても長期間無症状であることが多い。通常の検査で尿蛋白を指摘される時期は既に回復しない時期であることが多い。さらに進行するといわゆるネフローゼ症候群を来たし、やがて慢性腎不全を併発し尿毒症に至る。
  3. 末梢神経障害
    同様に無症状で経過することが多く、出現時はかなり進行している。知覚異常(鈍麻、過敏)――手足のしびれ、冷感などや自律神経障害(発汗・血圧調節、胃腸・排尿障害)――立ちくらみ、下痢、便秘、神経因性膀胱などを来す。
動脈硬化性病変
大血管の障害による。加齢、喫煙、肥満、によって増悪し、高脂血症、高血圧症を伴うとさらに促進される。
  1. 脳血管障害
    四肢の麻痺や言語障害、痴呆症などを招来し、広範な梗塞の場合は全身痙攣や意識書害から死に至ることもある。
  2. 虚血性心疾患
    冠動脈の障害により、狭心症や心筋梗塞を引き起こす。多くの場合は胸痛などの症候で発症するが、糖尿病ではそれらの症状を伴わない無症候性(無痛性)心筋梗塞が少なくない。
  3. 末梢循環障害
    神経障害とともに、糖尿病性足病変を来す。閉塞症が進展すると糖尿病性壊疽に陥り切断を余儀なくされることがある。
感染症
血糖調節が悪いと感染症に罹りやすく、治りにくい。また、感染症が増悪すると血糖も悪くなるという悪循環をもつ。指趾の白癬症や皮膚炎、歯周病、女性の尿路感染症などが多い。
その他
白内障、脂肪肝、月経異常、関節の変形(Dupuytren拘縮、Charcot関節など)、種々の皮膚病変、胆嚢機能異常、骨粗鬆症など。

 全体的な対策

 現在のところ、進展してしまったものについては対症療法しかなく、放置すれば極めて悲惨な結末となる。逆に合併症さえ起こさなければ何ら恐れる病気ではない!
したがって、まずは予防が第一である。

(1)何と言っても血糖のコントロールが基本!
(2)血圧のコントロール
(3)高脂血症の是正

 多くの合併症は、(1)で回避できる。慢性合併症については、(1)をより厳格に、根気よく行う必要があり、その上で(2)、(3)を厳重に行う。

三大合併症の対症療法

網膜症---------光凝固法、硝子体手術など
腎症-----------人工透析、腎移植など
末梢神経障害---神経修復剤、神経ブロックなど

動脈硬化性病変の対策

 進展を遅らせる方策として、動脈硬化の危険因子をなるべく減らす。定期的な受診、血液、心電図等の検査を受けること。発症した場合は速やかに専門医療機関を受診する。

感染症

 指趾や口腔内、陰部等の清潔を保ち、軽いからといって油断せず、早め早めに対処する。全身、特に足の傷の有無、色の変化等、よく観察することが大切! 放置して悪化させないこと!

その他

 他科の医療機関を受診する際は糖尿病専門医に相談する。

 

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